肩甲下筋
1987年優勝を争う読売ジャイアンツのエース江川卓投手は肩の痛みを抑えるために肩甲骨の裏にある筋肉に中国鍼を打ち広島カープの小早川選手に投じた渾身の球を本塁打され涙しました
その後江川投手は引退会見でその中国鍼は来期から投げられなくなるのを覚悟で打ったので投手生命は終わった
スポ根マンガをほうふつとさせるできすぎのエピソードで選手生命に幕を下ろしました
確かに日本人好みの浪花節で感動的な最後でしたが
それで治まらないのが鍼灸の関係者・・・
そんなことはない!!とばかりに噛み付いてひと騒動になったのも今は昔
時が流れて騒動さえも記憶の彼方・・・
これがその筋肉「肩甲下筋」
わかりにくいかもしれませんがこの図は前から見たもので
本来さらにその前には肋骨がありその後ろに隠れています
ちょうど肋骨と肩甲骨に挟まれて外からは触ることも見ることもできません
余談ですが何を隠そうこの私・・・
本来触れない裏側にあるこの筋肉を触るのが得意でして
これこそまさに裏技というやつでして・・・(笑
(シャレが言いたかったわけやね)
この図のように腕を内側に回旋(内旋)するのがその役割です
ピッチャーがこの肩甲下筋に異常をきたすとどうなるかというと
筋拘縮が起こり異常収縮という現象がおきます
つまりは伸ばしたくても伸ばせない状態に陥ります
投球時、リリースポイントで肩甲下筋が腕を内側に回旋させるとボールにかかっている指先がボールの内側にずれ込むことになります
そうなるとボールの真ん中にかけるはずの指先が内側に逃げスピンをかけるときその重心をわずかにはずしてしまいます
そうなるとボールに伝わる力が減少しその分だけ棒球になります
しかもやや内側にかかる分だけシュート回転になりボールはインコースよりになります
意識して投げたインコースならまだしも、威力のないボールが打者の懐に入ってきたら、プロ野球の世界では格好のホームランボールになるのは当然です
当時は私もまだサラリーマンやってて食い入るように戦況を見つめていたものでした
しかし江川投手の身体に何が起こったのか?
その理由を知ったのはこの仕事で肩甲下筋を勉強してからのことでした
ちなみに調べたところによると江川選手が鍼を打ってもらったツボは「膏肓(こうこう)」といって肩甲骨の内側で第四肋骨のところだそうで、肩こりにもよく効くそうです
私が肩甲骨の内側から指を入れてみるとけっこうしこりみたいに固くなっている人が多いんですよ
肩甲骨の裏側だから意外と気がつかないようですけど
違う場所で症状を感じるとき肩甲下筋が異常に拘縮していることが原因である場合も少なくありません
それにしても中国鍼が江川選手の引退の原因だという発言がホントなのかはいまだにわかりません
(図:動きの解剖学Ⅰより)
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コメント
ダンスでも、この肩甲下筋、結構使います。
ラテンの場合手からのリードをこの肩甲下筋に受けて、次のア
クションにうつします。コネクションという言い方をします。
モダンの場合はその筋肉を背骨のほうに引き寄せながら、手は
前に出すという難しい作業をします(笑)
投稿: みさりん♪ | 2009/05/04 11:29
やっぱり専門的になるとそのあたりの筋肉の使い方も知らないといけないんですね
う~ん ホント難しそうですね
投稿: ひろ | 2009/05/04 11:49
子供の頃、東京に住んでいたせいか、読売巨人の大ファンで江川も大好きでした。多摩川に練習を見に行ったり、野球場に観戦にも行きました。ただ、この引退のエピソードは知らなかったです。もう他のことに興味が行っていたからかな。。。
それにしても、江川のこの中国鍼のエピソードが本当なのかどうかは謎なんですね。本当、日本人好みなお話ですねえ。
投稿: coply | 2009/05/04 23:18
突然すみませんが、ひろさんのうどん特化のブログのURL教えて頂けますでしょうか?
投稿: coply | 2009/05/04 23:22
引退会見を見て真っ先に浮かんだのは人気アニメ「巨人の星」の最終回と似たようなストーリーだと言うことです
真偽はともかくとして疑いの目で見たことはいうまでもありません
麺食いの足跡のURL
http://menkuinoashiato.blog35.fc2.com/
こちらも宜しくお願いしますm(_ _)m
投稿: ひろ | 2009/05/05 07:44
出ましたね~江川投手の?記事!
結局、鍼が彼の引退原因であるかは
闇のままですが、ワタクシが「肩凝
りが無い」ことに油断してはいけない
ことは、改めて認識させられた気分
です。
投稿: あっけ | 2009/05/06 21:48
150m/hのスピードボールを投げられなくなる心配よりも
将来五重肩になる心配をした方が現実的かと・・・(笑
投稿: ひろ | 2009/05/07 07:50